ケータイ奴隷

「解約やめてくれるの?」

母は、あたしの願いを叩き落とすように首を横にふった。

「解約は今日するわよ。夏休み明けのテストで、成績がよかったら、またケータイを買ってあげようってことになったの」

あたしは氷の袋を床に落として、がく然とした。

夏休み明けだって? 一番ケータイが必要な夏休みに買ってくれないなら、意味がない。友達関係のことなんて、まったく考えていないじゃん。

「お父さんは反対していたんだけど、わたしが説得したんだから」

母は感謝しなさい、と言わんばかりに席を立った。

あたしは両親の無能さに、学校を休みたくなるような脱力感を覚えていた。