「え...?なにこれ?」


机の上に大きなバースディーケーキ。


《喜々 16歳おめでとう》


とケーキには書かれていた。


壁には折り紙で作られた輪。


『喜々、ハッピーバースデー!!!!!』


クラッカーの音がなり、独特の臭いがする。


「え?今日って私の誕生日....?」


そういえば、今日は私の誕生日だ。


最近、夜行性で時間の感覚が狂っていたようだ。


「おめでとう!」


杏がピンクの袋に包まれたプレゼントを渡した。


「みんなでお金出しあって買ったんだよ♪」


中身は可愛い瓶に入った香水。


「これ....」


「血の臭い気にしてたから香水にしたんだよ♪この香水はね、みんなで調合したから世界に一つだけの香水なんだよ♪」


素直に嬉しかった。


「ありがとう...」


「なぁーに、泣いてんのよ!」


杏は泣いてる私を見て、無邪気に笑ってみせる。


「ケーキ食べよっか♪優喜くんが作ったんだよ~」


優喜がどや顔でケーキを差し出した。


「俺もこんくらいの料理できんだよ、ハッハッハ~!」


優喜も杏も空海さんも私も笑って本当に楽しい一日だった。


こんな幸せな日は何年ぶりかなぁ。


お母さんも毎年、作ってくれてたっけ。


懐かしい感じがした。


もうちょっとここ余韻に浸っていたい。


でも、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。



真夜中がやってきた。