短編集

 


自分の手なのに、自分の意思では動かせない。


手に加わる力が、徐々に強くなっていく。


気道が狭まり、笛みたいにヒューヒュー喉を鳴らした。



涙目で鏡を見ると、鏡の中のアカリが虚ろな目を向けていた。


彼女が口を開く。


生気のない唇が、何かの言葉を形作っていた。



『――――』



意識の大半は息苦しさに向き、彼女の言葉を理解できない。



自分の物と思えない力で、私の手が私の首を絞め上げていた。



呼吸は完全に止まり、よだれを垂らし、白目が充血する。



霞む視界の中、鏡の中の彼女がもう一度唇を動かした。





―― ワタシ を

     カエシテ ――





人生最後に聞いたのは、恨みのこもるアカリの言葉だった。




    【終わり】



ここまで読んで下さった皆さま、本当にありがとうございます。
m(__)m

思いついた時に短編追加しますので、また読みにいらして下さいね♪