短編集

 


DNAの方も大丈夫。


自殺か他殺かはっきりしなくて、警察はきっと大学のロッカーも開けるだろう。


ロッカーの中には、彼女の髪の毛が絡まったヘアブラシ。


DNAを照合すれば、遺体とタナカのロッカーの髪の毛が一致する。



極めつけは手紙。

あの手紙は、自殺しますと書いたタナカさんの遺書だ。



きっと、今日中に結論が出るだろう。


タナカさんは、自宅アパートに火をつけ、自殺したのだと。




まだ通話は切れていなかった。


興奮気味の友人の声に、耳が痛くなる。



『アカリ見てる?ちゃんとニュース見てる?
びっくりだよね!ね!

私、自殺だと思う。
整形費用に闇金に手を出してたらしいよー?
借金苦で自殺したんだよ、きっと!

こう言ったら悪いけど、私悲しめない。

むしろ嬉しい!アカリも偽物に怯えなくて済むし、良かったよね!』



「こらこら、そんなこと言ったら駄目だよ。
タナカさんが可哀相だよ」



『可哀相?アカリって本当優しいよねー。

でも、いつまでも優しいばかりじゃ駄目だよ?

迷惑な時は、ちゃんと言えるようにならないと――――』




アカリびいきでタナカさんを悪く言う友達。


その言葉に傷ついたりしない。


だってそれは、タナカさんに向けられた言葉であり、私に向けられたものじゃないから。



私はアカリ。

完全なアカリ。


タナカさんは、死んじゃった彼女の方なのだ。