短編集

 


アカリは本当にいい子だ。


可愛くて素直で、人気者のアカリ。


そんなアカリにもうすぐなれるのだと思うと、嬉しくてニヤケてしまう。



ニヤニヤしながらアカリの腕に腕を絡め、耳元で囁いた。



「私ね、アカリに憧れてるの。
アカリみたいに、ナリタイナ」




アカリの体がびくっと震えた。


やんわりと私の腕を外し、彼女は微妙に距離を開けた。



「あの…… 私バイトに行くから、この辺で……

タナカさん、バイバイ」




一歩二歩、後ずさり、アカリは踵を返して走り出した。



駅前の通りは、学校や仕事帰りの人々が足早に行き交っている。



私だけ道の真ん中に突っ立って、笑っていた。



雑踏に消え行くアカリの背中を目で追い、心の中で語りかける。



バイバイ……じゃないよ。

また今晩、会いマショウ――――