短編集

 


信じていると言う割に、可愛い顔の眉間にまだシワが寄っている。



犯人扱いされると面倒なので、こう言った。



「“たまたま”私が後ろを歩いていて良かったね。

私がいなかったら、アカリは気絶したまま歯も折れた状態で、何時間もあの状態だったよ、きっと。

“偶然”私が居合わせたのは不幸中の幸いだよ」




私はアカリの恩人。

恩人を疑うなんて、顔も性格もいいアカリには出来るはずない。



予想通りアカリは、私に頭を下げた。



「ありがとう!そうだよね、タナカさんがいてくれなかったら大変だった。

歯医者にも連れて行ってくれてありがとう。

保険証もマスクもありがとう。

今まで悪く思ってゴメ……あ、何でもない!本当にありがとう!!」