短編集

 


気を失っている彼女を見て、ニヤリと笑った。


もう一度周囲を確認してから取り出したのは、

“ノミとカナヅチ”



アカリの口をこじ開けた。

ノミを前歯に当てる。



それから――

ノミのお尻に向け、力一杯カナヅチを振り下ろした。



鈍い音がして、アカリの前歯が2本折れた。


折れた場所から血が溢れ出し、口を赤く染めた。



痛みでアカリが大きく呻き、目を覚ました。



急いで工具をしまい、アカリを腕に抱えた。



「アカリ、アカリ!
あ、気がついた?良かったー!

雨で滑って階段から落ちたんだよ。大丈夫?」



「い、た……ゔ……」



「喋らないで。転んでぶつけた時に、歯が折れたみたいだから。

立てる?すぐ近くに歯医者があったよ。今すぐ行こう!」