短編集

 


 ◇◇


翌日も雨。

雨の方が好都合で助かる。



5講目を終えたアカリが、講義室から出て行った。


玄関ホールで友達と別れ、一人傘を差し雨の中へ。



いつも友達に囲まれているアカリが、どうして一人で帰るのかというと、

今日水曜日はバイトがあるからだ。



彼女は駅前のカフェレストランで、水金日の週3日働いている。



アカリが一人で帰る日を狙っていた。


小花柄の傘を差して歩く彼女の後ろを、

同じ傘を持つ私が、一定の距離を開けて付いていく。



アカリは私に気付かない。

水溜まりを避けることに注意を向けている。



駅に向かう通りは、片道3車線の大きな車道。


横断歩道はなく、その代わり車道の下を地下通路が通っていた。



歩道の脇でポッカリと暗い口を開ける、地下通路出入口。


アカリはその口に入ろうとしていた。