「これあげます。ぶつかったお詫びです。
絶対絶対、読んで下さいね!」
読書好きではない私にとって、有難迷惑なお詫びの品。
それでもアカリみたいにニッコリ笑い、「ありがとう」とお礼を言った。
午後の講義中。
大層偉いらしい教授の話が、余りにもつまなくて寝てしまいそうになる。
机に突っ伏して寝ると、整形した顔のパーツが崩れてしまいそうで怖い。
そこで貰ったばかりのミステリー小説を取り出した。
全く興味がないけど、居眠り防止になってくれると期待して。
『そうして私はいなくなった』
というタイトルの本は、何度も読み返したようで、ページに新しさがなかった。
眼鏡の女の子にとっては最高の娯楽でも、やはり私にはつまらない。
あくびを噛み殺し、文字列を目で追うだけ。


