本を読みながら歩いていたと言う、眼鏡の子。
確かに文庫本が落ちていた。
それも一冊ではなく、十冊も。
鞄から飛び出た荷物のほとんどが、文庫本だった。
一緒に拾い集めながら、話をした。
「〇〇殺人事件、〇〇の謎……
ミステリー小説ばかりだね。好きなの?」
「はい。読み出すと止まらなくて、良く人にぶつかるんです」
「ふーん。そんなにのめり込むほど面白いんだ。
私はミステリー小説読んだことないから、わからないけど」
読書の趣味はない。
本を買うのはファッション雑誌くらい。
そう話した私に、眼鏡の彼女は大袈裟に驚いた。
「本を読まないのですか!?
本当に?
もったいないですよ!人生損してます!」
彼女は熱くミステリー小説の素晴らしさを語り、
拾い集めた本の中から一冊選んで、私にくれた。


