短編集

 


小講義室の後ろの席で、手鏡を取り出した。


授業中だけど、顔を確認したくなり鏡を覗き込む。



何度見ても、うっとりしてしまう。


目も鼻も口も、アカリに良く似ている。



まるで鏡の中にアカリがいるみたいだ。




隣に座っているのは、ミサ。

大学で友達と言えるのは、彼女しかいなかった。



ミサが授業中の講師を気にしながら、

「あのさ……」と小声で話しかけてきた。




「何?」



「言いにくいけど……あんた、病院行ったほうがいいよ」



「病院?何の?
美容整形外科ならちゃんと通ってるから、心配いらないよ」



「お願い……ヤバイことに気付いてよ……」



「ミサ?何言ってんのか意味分かんないよ。頭、大丈夫?」



「ごめん、もう私には無理。
あんた怖いよ。距離置かせて……」