短編集

 


問い掛けに答えず笑っていると、後ろから顔を覗きこまれた。



彼がやっと間違いに気付く。


それと同時に、

「ユウダイ!」

前方から声がした。



本物のアカリが、講義室のドアから姿を見せた。


私と、私の背中を抱きしめる彼を見て、アカリは持っていたバッグをドサリ落とした。



慌てた彼が私を離し、アカリのもとへ駆け寄った。



「違う、間違えただけだよ!
本当だって、後ろ姿が似ていたから……」



アカリは可愛らしく頬っぺを膨らませ、彼の弁解を聞いている。



その横を通り過ぎようとしたら、愛らしい彼女の瞳が私に向いた。



二重のパッチリした目を狭め、睨んでいるみたい。



アカリと視線がまぐわい、興奮した。


私を見ている……

そのことが嬉しくて、満面の笑みをお返しした。




二人は私と逆方向に去って行った。



足を止め振り向いて、二人の背中をじっとみた。



イケメン好青年と、完璧に可愛い彼女。

なんてお似合いな二人なのだろう……



アカリと同じ物が欲しくて堪らない。


服も髪型もメイクも、
彼氏も……


憧れの彼女と、全てお揃いがいい。




――――……