短編集

 


アカリと間違えられたことに気分良く歩いていると、

急に背中に重みを感じた。



「アカリ、おはよう」



耳元に低音のいい声が響き、体に腕が回された。


本日二人目、嬉しい勘違いをしてくれたのは、ユウダイ。


私の好きな人であり、アカリの彼氏でもある人。



「ユウダイ、おはよ!」



背中を抱きしめる彼に、振り向かずにそう返事をしてみた。



間違いにまだ気づかない彼は、私にくっついたまま話し続ける。



「俺、今日バイトだから一緒に帰れない。

終わったらアカリの家行くな。
泊まらして?」




泊まらして?だって。

イケメンに、お泊りのお願いされてしまった。



それも嬉しいけど、アカリになれた気分が何より嬉しい。



「ウフフフ……」


「アカリ?」