短編集

 


 ◇◇◇


秋。

コンビニの前には、おでんと書かれた旗が立ち、

大学構内は、イチョウの葉が黄色に色付いていた。



赤や黄色の落ち葉を踏み付け、胸を張って颯爽と歩いていた。



「アカリー!」



後ろから声を掛けられ、振り向いた。



「あ……
ごめんね、間違えた」



私に声をかけた女の子は、アカリの友達。


彼女は微妙に引き攣った笑顔で謝り、逃げるように立ち去った。



謝る必要なんてないのに。

アカリと間違えられることは、至福の喜びなのに。




アカリと同じブラウスを買った日から、二ヶ月が過ぎていた。



あの時の快感がくせになり、次から次へと、彼女と同じ物を買いあさった。



今着ている服も、アカリとお揃い。

“L.E.Campus”彼女のお気に入りのブランド服だ。



靴も鞄もコートも同じ。


彼女の行きつけ美容院を探し出し、ミルクティー色のゆるふわパーマに、髪型も同じに変えてみた。