凌路は写真におさめて、優理香のところへもどると、参加者の男性客が4人が優理香をダンスに誘っていた。
困った顔をしている優理香を見て凌路は優理香の腕を引っ張った。


「きゃあ!」


「大声を出さずに、音楽に合わせて踊るんだ!」


「えっ?」


「えっと・・・困っていたんだろ?
知らない男にダンスを申し込まれて。」


「う、うん・・・。
わ、私はダンスのあとに部屋には行かないから!」


「わかってるよ。
この曲が終わったら、俺は自分の部屋にもどって仕事だ。

早く写真ができあがらないと、文章書けないだろ。」


「ええ。いいの撮れた?」


「ああ。どうしてここで祝うのかもきいてきた。
1つ1つ手作りのアットホームな親戚付き合いをしたいからだそうだ。

社長っていう立場になってこそわかるところだな。
俺は結婚もしてないから、セレモニーらしいことはやったことはないがな。」


「どうして、結婚しないの?
私のせいなの?」


「どうしてなんだろうな・・・。
君のせいだと思い込もうとしてたけど、それだけでもないんだと思うな。

俺は女が嫌いだしな・・・。」


「そう。だったら早くあなたに会っていればよかったわ。
そうすれば、私は過去のことをもっと早く整理できたのに。」


「悪いが、早く会えていたら、きっと過去のことがもっとひどい傷になったかもしれない。」


「どういうこと?」


「言いたくない。・・・悪い・・・もう部屋に帰る。」



自分の部屋にもどってから優理香はさっきの凌路の態度を思い返していた。

(早く会っていたら・・・過去のことがもっとひどい傷になったかもしれない。
そんな出来事があった!ってことよね。

まぁ、お互いいろんな過去くらいあるわよね。
それよりも私・・・あの男と踊った・・・触れられたら声をあげてもおかしくないのに。)



翌日、取材させてもらったゲストやペンションのスタッフに挨拶をして、2人は事務所にもどった。

そして原稿をしあげてすぐに雑誌社へと持ち込んだ。