凌路に付き添われて所定の手続きをすました優理香は、早速自分の割り当てられた部屋へ入った。
メインとなる窓をあけてみると、大きな庭と正面に海が見えた。
「わぁ!小さいけど海まで見えるんだぁ。
それによく世話が行き届いたお庭。」
「君には山より海が見える方がいいかと思ってね。
大きさは実物よりやや小さいけどね。」
「やや?けっこうかわいらしい海。
でも、このくらいが落ち着くわ。
海も山も大きなのは・・・怖いから。」
「そういうと思った。
俺は今、こういうところで仕事してるんだ。」
「ホテルはやめたの?」
「正式には退職扱いではなく、出向扱いなんだけど・・・ここは俺の面倒をいつも見てくれたばあちゃんがいるんだ。
ばあちゃんのために作ったところといってもいい。
俺の気持ち・・・かもしれない。
親父のあとだってよろこんで継いだんじゃなくて・・・君を襲ってしまった後で、ここで俺は気が狂ったように叫んでいた。
それをばあちゃんは、みんな黙って見守ってくれて、なぐさめてくれた。
だから何とか人間としては、やってこれた。」
「いいなぁ。私もそんなおばあちゃんがいたら・・・もっと違う生き方してただろうなぁ。
あのとき・・・もうお姉ちゃんは家を出ていって、それからアメリカへと行ってしまった。
私ひとりぼっちだった。
実家もなくなって、叔母さんとも連絡がつかなくて・・・ほんとにひとりだった。」
「そんなときに、ライドと会ってしまったんだね。」
「ええ。もう誰も私を信じる人なんていないし、話せる人もいなかったし・・・ひとりで震えているしかなかったわ。
怖くて・・・もう一度会ってしまったら、死んでしまおうって思った。
遺言状くらいうまく書けなきゃ・・・って文章の書き方を勉強して、好きな話題について書くようになったの。
実家に似た旅館のこととか書いたら、それが当たってしまって。
そしたら、叔母さんと連絡を取り合うことができて・・・叔母さんも奥さんになっていて・・・私はひとりぼっちじゃないって思えたの。」
「なぁ・・・提案なんだけどさ。
そろそろ返事もほしいし、ここにいる間だけでもいいから・・・俺の嫁さんになってくれないか?」
「えっ?ここにお世話になってるだけでもずうずうしいことなのに、どうしてそんなこと。」
「なんっつーか・・・・君の力になりたいっていうか、ライドがもし君の前にあらわれたらと思ったら、君ひとりじゃ危ないし。
俺もあいつが大嫌いだし。
できれば、あいつをもう日本に来れなくしてやりたいくらいさ。」
「だけど、べつに私と結婚しなくても逆襲はできるんじゃない?」
「だめだ、君がひとりだとわかったら・・・もしかしたらまた君に何かするかもしれない。
いや、たぶんするだろう。
それに俺は君のお見合い相手だから、結論をいおう!
優理香、俺と結婚してください。
お願いします。」
メインとなる窓をあけてみると、大きな庭と正面に海が見えた。
「わぁ!小さいけど海まで見えるんだぁ。
それによく世話が行き届いたお庭。」
「君には山より海が見える方がいいかと思ってね。
大きさは実物よりやや小さいけどね。」
「やや?けっこうかわいらしい海。
でも、このくらいが落ち着くわ。
海も山も大きなのは・・・怖いから。」
「そういうと思った。
俺は今、こういうところで仕事してるんだ。」
「ホテルはやめたの?」
「正式には退職扱いではなく、出向扱いなんだけど・・・ここは俺の面倒をいつも見てくれたばあちゃんがいるんだ。
ばあちゃんのために作ったところといってもいい。
俺の気持ち・・・かもしれない。
親父のあとだってよろこんで継いだんじゃなくて・・・君を襲ってしまった後で、ここで俺は気が狂ったように叫んでいた。
それをばあちゃんは、みんな黙って見守ってくれて、なぐさめてくれた。
だから何とか人間としては、やってこれた。」
「いいなぁ。私もそんなおばあちゃんがいたら・・・もっと違う生き方してただろうなぁ。
あのとき・・・もうお姉ちゃんは家を出ていって、それからアメリカへと行ってしまった。
私ひとりぼっちだった。
実家もなくなって、叔母さんとも連絡がつかなくて・・・ほんとにひとりだった。」
「そんなときに、ライドと会ってしまったんだね。」
「ええ。もう誰も私を信じる人なんていないし、話せる人もいなかったし・・・ひとりで震えているしかなかったわ。
怖くて・・・もう一度会ってしまったら、死んでしまおうって思った。
遺言状くらいうまく書けなきゃ・・・って文章の書き方を勉強して、好きな話題について書くようになったの。
実家に似た旅館のこととか書いたら、それが当たってしまって。
そしたら、叔母さんと連絡を取り合うことができて・・・叔母さんも奥さんになっていて・・・私はひとりぼっちじゃないって思えたの。」
「なぁ・・・提案なんだけどさ。
そろそろ返事もほしいし、ここにいる間だけでもいいから・・・俺の嫁さんになってくれないか?」
「えっ?ここにお世話になってるだけでもずうずうしいことなのに、どうしてそんなこと。」
「なんっつーか・・・・君の力になりたいっていうか、ライドがもし君の前にあらわれたらと思ったら、君ひとりじゃ危ないし。
俺もあいつが大嫌いだし。
できれば、あいつをもう日本に来れなくしてやりたいくらいさ。」
「だけど、べつに私と結婚しなくても逆襲はできるんじゃない?」
「だめだ、君がひとりだとわかったら・・・もしかしたらまた君に何かするかもしれない。
いや、たぶんするだろう。
それに俺は君のお見合い相手だから、結論をいおう!
優理香、俺と結婚してください。
お願いします。」

