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大宮で電車に乗り換え、

ようやく阿部くんの地元にたどり着いた。


「んん? 何か盛岡のほうが都会じゃない?」


駅を出ると、バスを待っている人の列や、駅ビルや飲食店の並びが見える。

でも、空は開けているし、自分のスペースも人3人分くらい確保できる。


「みんなおれのこと都会の人だと思ってるけど、まあ、関東は広いからねー」


中学の時の修学旅行で行った東京の大都会よりは、

全然暮らしやすそうではある。



手をつないで歩き出すと、

「うおおお阿部ちゃん! 久しぶりー!」

と叫びながら、こっちに向かってくる男の子の姿が見えた。


危険を感じたわたしは、すっと一歩横にずれる。


もしかして、この人が――。


気がついた時にはもう、

その男の子は阿部くんのことをきつーく抱きしめていた。


「ク、クサマくん。苦しいよ」


「だって久々じゃんよー。しかも彼女できたって。良かったなお前~」


確かに、ちょっとノリはクニオに似ているかもしれない。


それにしてもこの熱すぎる抱擁、ボーイズラブ好きのイトコが見たら喜びそうだ。

今日のお土産にこっそり写メ撮って見せてあげようかな。