空と彼と私

缶が、赤面した顔を隠してくれているはずなのに、征司は、

「麻衣、顔、やべェぞ。押し倒したくなる」

と、私を軽くノックアウトした。


缶に、液体が残っていたら、間違いなく、噴き出していた。


「ちょっ、何?何、言ってんの!わけわかんないから!」


征司がわからないんじゃない。この場合は、私がわかんないのだろうけど……。


それすら、麻痺していく、征司の憂いに満ちた目。


押し倒したいと言っておきながら、どうしてそんな目をするのか不思議でならない。


「征司」


缶を机の上に置いた後、征司の頬に手を伸ばした。


それを避けることをせずに、至近距離で近づいた私の腰に左手がまわった。


「キスしたいの」


棒読みで色気ゼロな台詞。


征司を相手に何を血迷ったんだか……。