神社は、屋台で賑わっていた。
いか焼きや、カステラを焼く匂いの
混ざったモノが、漂っていた。
行き交う人も多く、
それをかき分けて行くのも、ひと苦労だった
祐太は背が高いので、前が見えていたが、
佐紀の目の前には、背中しかなかった。
二人は、皆と同じペースで流れに乗って、
ゆっくりと歩いて行くしかなかった。
祐太は肩で、佐紀を左へ左へと押して行った
そうして二人は、屋台の前に出て来た。
佐紀はようやく、人いきれから、
少し解放された気がした。
そして二人は、屋台沿いに歩いて行った。
「私、小さい頃、
綿アメを買ってもらうのが
楽しみだったんだ」
「俺は、くじ引き。
何が当たるか、そのわくわく感が
たまらなかったね。
大抵はハズレだったけど、
それでも、嬉しかったな」
「あっ、この光る輪っか、
懐かしいなぁ。
まだ、家にあるかも。
もう、光らないけどね」
そんな子供の頃の話をしながら、佐紀は、
屋台に並べられている物を見ながら
歩いて行った。
「おいっ、こっちだぞ」
その声に、佐紀が顔を上げると、
祐太が少し向こうから、声をかけていた。
人込みの向こうから、
祐太の顔だけが見えた
どうやら、離れてしまったみたいだ。
「あっ、ゴメン」
佐紀は人込みをかき分け、
祐太の処へ行くと、
離れないように、
祐太の腕を、掴んだ。
祐太は、ピクッとしたが、
何も言わなかった。
佐紀の頭の中に、一瞬、
ナッキーの顔が浮かんだ。
“へへっ、一歩前進!”

