入学式も終わり、次の日、
佐紀は、体育館に行ってみる事にした。
佐紀は、バスケ部に入ろうと、決めていた。
いやむしろ、ここのバスケ部に入りたくて、
必死で勉強して来たのだった。
大学紹介のパンフでは、バスケット部は、
第2体育館で練習しているらしい。
パンフに描かれている地図を見ながら、
佐紀は、第2体育館に向かった。
その途中のキャンパスでは、
「新入生歓迎祭り」、
俗に言う“新歓祭”が行われていた。
そこでは、屋台があったり、
自分たちをアピールする、
パフォーマンスをしたり、
何とか、新入部員を確保しようとしたりと、
本当に、お祭りのような騒々しさだった。
あたりには、焼きそばや、フレンチドッグ、
いか焼きなどの、甘い香りが、漂っていた。
女子バスケット部もあるのかなと思い、
いろいろ探してはみたが、余りの多さに、
見つける事は出来なかった。
中でも、マイナースポーツなどは、
何とか、良さを知ってもらおうと、
懸命のパフォーマンスをしていた。
文化部などは、
一体どんな活動をするのか、
よくわからないものもあった。
“ちょっと面白いな”と思って見ていると、
すぐに、勧誘を受けた。
「何? 興味あるの?
じゃあ、一緒にやろうよ」
「いえ、私は………」
そう言って手を振り、慌てて離れたりした。
あるいは、客引きよろしく、
「ねえ、こっち来て、話し聞いて」
そう言って、手を引っ張り、
強引に連れて行こうとする所もあった。
「いえ、私は、バスケ部に入るので」
佐紀がそう言うと、ようやく放してくれた。

