「いやぁ、なんか親戚と当主争いをすることになっちゃってねぇ。」



参ったよ、と颯は呟いた



「まあ、いつかはこうなるとは分かってたけど…」





「え?…当主…あらそい?」





予想外の言葉に思わず息が詰まった





「そ。まぁ俺は参加しないけどねー。」





颯は他人事のように知らん顔をした




そっか、もうそういう話が出てもおかしくないよね…?たぶん。




「そっかぁ。なんか手伝えることあったら言ってね? 私は一応、颯の味方だからさ!」



そう言うと、颯は口元を緩め嬉しそうに笑った




「一応って、ひどくね?」





そういって二人でクスクスと笑った





授業の終わりのベルが学校内から聞こえてくる




「おわっ!もう6時間目終わっちゃったじゃん!じゃあ俺もうそろそろ帰るわ。」



颯は立ち上がり、出口に走って行った





「うん。がんばってねぇー!」





じゃぁね。といいながら颯はドアに手をかけた





ふと、何かを思い出したかのように顔をしかめた





「楓、身の回りには気よつけろよ。」





そう言ってすいっと闇に溶けて行った