「わかった…。
被害者は、もしかして
コーヒーを飲んで…」
「はい」
「でも、実際沖野自身は何もしてなくて…。
それを用意したのは、メイド…」
と、口に出して、あ、と気づく。
なぜあの時、狐燈が。
『メイド、と言っておきましょうか』
と言ったのか、
ようやく意味がわかった。
コーヒー豆を用意したのは沖野だが
実際それを運んだのはメイドである。
おそらく、コーヒー豆自体に
毒か何か仕込まれていたかだろう。
「…ご名答でございます」
そこで、ようやくその呪縛から解かれ。
あたしは、一つ息を吐いた。
「どうでしたか?」
「…え?」
「少しは、楽しんでいただけたでしょうか…?」
なんて。
楽しいわけがあるまい。
でも。
「まあまあ、だったかな」
楽しいと言われれば悩むが、
まあまあ面白かったのは、ある。
「それでは…」
………?


