「…社長の、友人って言った…」
確か、沖野と名乗った男だ。
そう答えたあたしに。
「ご名答でございます」
彼が、ふわり、と微笑んだ。
「彼は、友人と名乗りながらも
恨んでいたのですよ」
「社長さんのことを…?」
「はい。
なぜなら、彼からあの会社を奪った本人が、あのお方であるからです」
なんと…!
あんなに、張り付いて見ていたというのに
我ながら、恥ずかしすぎる。
「彼は、裏切られ、恨み…
そして、ある計画を立てました」
それならば、彼の一番大切に
しているものを奪おう、と…
「それが、…」
「ええ、あの女性だったのです」
「そ、それで…?」
ずい、と詰め寄るあたしに、
彼は、意味深な表情を浮かべ。
「そうですね…。
見事、当てられましたら
ご褒美を差し上げましょう」
………。
……なんだ、この狐は。
「…なんか、嫌な予感」
「では、ご褒美は所望しないということですね」
なんて腹黒なんだ。


