「御意。」

黒猫が僕を持ち上げたのがわかる。

「では、飛ばして行きます。」

「頼む。」

僕が、そう言った途端に、黒猫は走り出す。

今だから、説明するけど……

黒猫は猫又。

戦闘でも、充分だが暗殺の方が得意と言う。

実際、前殺されかけたし……僕。

まぁ、それはまた別の話。

てか、今気付いたんだけど……

「追ってきてますね。」

だろうと思った、だってさっきから、後ろからの威圧感が半端ない。

「はぁ、付いてこられたら困る。巻け。」

「御意」

黒猫の走るスピードが、上がる。

うぅ、酔う。あんまり揺れてはいないけど……

気持ち悪い……。

「大丈夫ですか?神季様。」

「大丈夫じゃないから、早くしろ。」

そう言ったと同時に、黒猫が体勢を低くする。

ま、まさか!?

黒猫は、飛び上がると長屋の屋根に乗る。