「ごめんなさい、聞こえませんでした。」

「やっぱり、いいや。」

あの笑顔から、真顔に戻る沖田。

ズルズル

ふと、沖田と同時に同じ方角を見る。

「何か居る?」

まるで、何かを引きずる音。

しかもこの気配は...

沖田は、刀の柄に手をかける。

僕もそうしようとして、気づく。

「しまった!」

刀を黒猫に預けたままだった。

それに気づいた沖田が、僕をかばうように立つ。

「沖田さん?」

「君が怪我とかすると、にゃんこがこわいからね〜」

信用してないくせに、なぜ僕を守るかは謎だが、今はそれどころじゃない。

「来るよ!」

気配が強まり、近くの木が大きく揺れた

ガサッ

現れた者に、沖田さんと同時に脱力した。

「二人して、何身構えてんの?」

何か大きなものを引きずった黒猫だった。

「にゃんこかよ〜間悪すぎ!」

「はぁ?」

何のことかわからない黒猫は、おもいっきり眉を寄せる

そんな二人のやりとりを横目に、僕は黒猫が引きずってきた物に近寄る。