わいは、千狼浪士組のためでも

局長の為でもなく

副長の為だけに、働いてきた。

密偵等の裏の仕事は、お手のもの。

副長の命令は絶対で、失敗したのはほとんど無い。

でも、今回立ちはだかった壁が………

「おい、入るで?」

襖を開けて入ると、縁側に座ってる神季。

気配に敏感な奴が、こちらを振り返らへん?

眉を寄せて、前と回り込む。

「神………!」

思わず、固まってしまった。

あの………あの神季が無防備に寝てるんやで?

明日雪降ったりしないよな?

よく見ると、神季の顔には涙がまだ残ってた。

「ハァ」

何の意味か分からないため息をはく。

涙をすくいそのまま神季の頭にのせる。

そして撫でてみる

「っ!」

思わず驚いてしまった。

もちろん、無意識の自分の行動にも驚いたんやけど...

それよりも神季が...

幸せそうにふわりと笑った事に驚いた。