「私はもう母さんの事は悔やんでいません。ただ、逃げた兄さんを恨んでいます」 「そうだろうね。僕の独断で祷に過酷な運命を背負わせてしまった」 「そう思うなら、どうして逃げたのですか?」 私の言葉に、兄さんの瞳が揺れた。 「あの頃の僕は、どうかしていた。母さんを失って、動揺して…」 「兄さんは言いました」 兄さんは、はっと顔を上げて私を見た。