初恋 神隠し

「きゃあああ!」

「やばい!」

避けようとする黒幻様だけど、白の手のほうが早く、黒幻様は私を抱きしめて白の手を直撃した。

「ぐっ!」

「黒幻様!!!」

黒幻様は、私を庇って。

「黒幻様!!しっかりしてください」

「…くっ!君に言われなくても……分かってるよ」

辛い表情をしている黒幻様の服が血に染まり始めている。

「ち、血が!」

「こんなの大したことはない、こんなのしょっちゅうある事だ」

そんな事を言う黒幻様だけど、立ち上がった時体がふらふらしていた。

(何だ、まだ立てるのか犬神家の中で弱い者が)

「弱い者って、一番お前に言われたくないことだね」

(本当のことだろ、こいつの“兄”にして力が弱く、弟のこいつが期待されていた事を恨んでいたくせに)

「え?」