初恋 神隠し

目を細めて黒幻様が睨みつけている方向を見つめる。

すると、何かがこちらに向かって走って来る音が聞こえる。

「やっぱり、あの時のままか」

「…白」

その音はどんどん大きくなってくる。

「赤火!」

黒幻様は、いくつもの赤色の炎を飛ばす。

その時、私達の目には化け犬姿の白幻がしっかりと見えた。

「………」

全身は真っ白な毛で覆われていて、鋭い爪と牙が赤火によりはっきりと見えた。

「あ、あれが……、白」

「逃げるぞ」

黒幻様に手を引かれて走りだす。

「ど、どうするのですか!?」

「とりあえず、あいつから逃げる」

とりあえずってことは、もしかして何も考えいないで来たのですか!