初恋 神隠し

(だから何だよ!)

「今の君じゃ、俺の力には敵わないしその千奈って子を助けることも出来ない」

確かにこいつの言うとおりだ、俺の体は完全に支配されてるみたいだし、止められる自信もない。

「だから、眠っててくれないかな?」

もう一人の俺が、俺に向けて手を翳すと、急に眠気が俺を襲ってきた。

(お前……、何しやがった……)

「いつもみたいに眠っててもらうため、ちょっとした術をね」

俺がこんな所で寝たら、千奈が危ない。

「大丈夫さ、食事が終わったらいつもみたいに記憶を消してあげるから」

(また俺の記憶を消すのか)

「でないと、後々厄介だからね」

せっかく思い出せなのに千奈の事、一緒に交わした約束も、それも全部また忘れるのかよ。

(ごめん千奈……、お前との約束はたせそうにないや……)

そこで、俺の意識は途絶えた。