どうして俺よりも俺のことが分かるのか。 「哲、あたし以外の女子に優しいし」 間違えた。こいつは少しも分かっていない。 「お前って本当…期待を外さない」 「うん?」 「なんでもない。今日何時に終わんの?」 「最後までいると思う」 取ってを結に返して、美術室の扉を開けた。 中からは絵の具や木材の匂いがする。そういえば美術も課題出てたな、と思い出した。 「じゃあ待ってて。ここまで来る」 「え、なんで?」 「一緒に帰る」 振り返った結が嬉しそうな顔をした。