空とマンホール


敬司に忠告までされた。
それなのに、結に言われるまで気づきもしなかった。

「なんで謝るの?」

「南雲の気持ちには…」

「私、汐野に告白してないよ!」

張り上げた声は、空き教室に響いた。

「責めるのも怒るのも分かるけど、受け入れて欲しいなんて言ってない。だから、その前から拒絶しないでよ!」

泣きそうな顔をさせた。
俺は、どこまで人を傷付ければ気が済むんだろう。

「汐野は、最初からそうだよね…特に女子には。笑ってるから近付きやすいなって思わせておいて、本当は砂藤さんしか見てない。みんな、そういうの見て諦めてきたんだろうなってすぐ分かった」