氷と魔女《specialstory 完結》

『ダメだ。こいつらと仲良くなるな』

『悲しませたいのか？』

『しかもこいつは副大臣の息子。敵となるのはわかるだろう？』



『裏切ったと言われたくないのなら、その手を払いのけろ』




私の頭の中で、闇を持ち、氷の心を持つもう1人の私が言う。


でも…



悲しませるのもわかってる。

裏切り者と言われる事もわかってる。


だけどさ…





少しぐらい、ほんの少しぐらい…


人間界にいた時みたいに、友達と楽しく生活してもいいよね？


恨まれるぐらいなら、仲良くならないなんて。




嫌だよ。






「千草…？」


吟が急に黙りこんだ私を覗き込んだ。





この人も、いつかきっと敵となる。

私がこの人を裏切る日も来る。

でも、この人は自分をアホらしいとまで思って私に心を開いてくれたんだ。