「この寮の各部屋、実は秘密の『特典』があるらしい。
それは部屋の主人にしかわからない」

冷夜がにやりと笑いながら言った。

へぇ〜…面白そうじゃん。


てゆうか、部屋割りが終わったら私のここにいる理由はなし。

てことで…


「じゃ」


私はさっさとリビングを出ようとした。
リビングのドアに手をかけた時…


「おい。
まだそんな話あってねーだろ」

吟に肩を掴まれ、止められる。


私は顔を吟に向ける。
180cm近くある。私は160cmぐらいだから20cm差ぐらいか。

見下ろされてるって、なんか見下される気がして嫌なんだけど。


…やだなあ、こうゆうの。めんどくさい。

それに、馴れ合いは私にとって無用な訳よ。

「政府の息子か娘か知らないけど
私は『友達』になる気、さらっさらないので」



私は吟の手を払いのけると、ドアを開け、『月の部屋』がある2階へと向かった。