「お願い…お願い死なないで。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…
私は死んでもいい。けど吟は死なないで…!」


「ち、ぐさ……1つ言いたいことが…」



1つ…?
1つってなに…?


これで話すのは最後なの…?





「俺な、実は…
お前のことが、好き、だった…
なん、だっけ、な。えっと…あいつ…良弥がお前とシー、ルド越しにキスした時もむしゃくしゃしてた。

敵だってわかった時も、叫びたいほど辛かった…
それ、ほど…好き、だったんだ…」



ガハッ



吟が口から血を吐いた。


まるでお父さんの時と同じ。


私は誰も助けられない。





「私も、私も好きでした……‼︎吟のこと、ずっと好きでした…!
だから死なないでください!お願い!お願いだから、死なないで…!」




吟はふっと口元が緩んだ。




「言って、おく…俺、はお前に殺されて、なんかない…
自分から、死んだんだ…」


「ウソ…!私が吟を殺したんだ!ヒックッ…グスッ…ごめん、なざい…
好き、だったのに…愛する人を私は…」


吟の目から一筋涙が流れ落ちた。

神様!いるのでしょう?

私はいなくなってもいい!
ただこの人だけは助けてあげて!お願い!










「千草……また、な……」




吟は小さな声でそう言った。




「吟?」




返事はなし。





「…………吟?
ねえ、吟?なんで?なんで返事しないの⁉︎ねえ、吟!」




吟の手を触ると、生ぬるかった。
けどどんどん冷たく硬くなってゆく。



「吟!お願い返事して!
死ぬわけないよね?ねえ!吟…吟、お願い死なないで!お願い……!」





私は吟の手を持ち上げた。


けど…



その行為は虚しく、私の手から吟の手はするりと抜けて下に落ちていった。





「うっ……うっ……うわああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」







大絶叫が作られた世界に響いた。







涙は次から次へと出て、止まらなかった。