「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」





ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン



脈が打つ音が脳内に響き渡って消えなかった。

息切れも止まらない。



「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」



あと少し。魔法が発動するまで…

戦争がなかったことにできるんだ…

死者は変わらないけど…今生きている人たちを助けることなら…



「千草‼︎」
「吟⁉︎今私に近づかないで!」

「そんなのどうでも良い‼︎‼︎」



ビクッ



私の肩が跳ね上がった。


吟は私を切なそうに見ていた。



「お前…本当に……」

「大丈夫。魂は死なないから…」


吟は急に私を抱いた。


「なっ……離して吟!お願いだから…‼︎」

「ごめん無理。離したくない…」

吟…





私も吟をぎゅっと抱きしめた。







あぁ。このまま私は死ぬことが出来るなら…


それでいい。





『本当に?』





『本当にそれでいいの?
今抱きしめられている相手は政府の者だぞ?
恨みを晴らせるんだ…!』




お願い、黙って!




『黙ってもなにも、これが私の本心なんだ。
私は逃げているお前自分にいってるだけだ、本心を』




お願い……やめてよ………






『殺れ』








私はすぅっと視線を吟にやった。




苦しそうな表情で、目を閉じて私を抱きしめていた。