「アンゲルス・ウィング‼︎‼︎」




私が杖を掲げ叫ぶと、背中から漆黒の翼が現れた。




はは…
美しいほど残酷な翼だね。





私はそれを器用に扱って上へ上へと飛んでゆく。





「待て!千草…!
お前、死ぬのか…?」

吟が下から呼び止めた。



「まあね。
その前にやることがあるけどね…」




私は5mほどのところで飛ぶのを1回やめる。




「我の体に宿りし『女神の血』よ……!
今こそ、開花させよ‼︎」




私が思いっきり杖を振ると、空から耐えられないほどの眩しい光が降り注いでくる。


まぶし……!


でも…確実に、来る…!







「やっと、気づいたのね…千草……」


目の前には、純白の翼を持つ赤髪の女性がいた。

綺麗……

「あなたは……?」

『私は太陽の神に愛された魔女。
けど2000年前の戦いに敗れ、存在が消え去った。
今から来るものたちは、あなたの祖先にあたるうちのなかの、運命の数人。

その中でもあなたと私は特別だった……』



「特別…?」



『そう。1000年に1度生まれる私たちの血族の中でも、特に特別なのが11人いた。
その内9人は惑星…太陽系惑星の力を持つ者たち。
そして後の2人は…

まるでコインの表裏。トランプのキングとジョーカー。
間反対で、最も特別な2人…
それが、太陽と月。
あなたは月の女神に愛されし魔女なの』



「月の女神…?」



『そう…月の女神に。月の女神には他の者にはない特別な力がある。
それは、革命を起こす力。
何万年も前に起きた、女神の羽をもう1度復活させる力…!
あなたなら女神の羽見つかるわ』


「どうすればいいの…⁉︎」



太陽の魔女は、慈愛満ち溢れた笑顔で言った。


『長く説明はできない。
私はここに長くいられない…
1つだけ、ヒントが……
真実の愛を見つければ、必ず女神の羽は復活するわ』



そう言って、太陽の魔女は消えた。


はは……真実の愛なんて、そう簡単に見つからない。

所構わず愛したってダメなんだ。



「千草……時が来たわ」


「……今度は誰…?」


『私たちはあなたの祖先』


そう言って、私の前に9人の純白の翼を持った美しい魔女たちが並んでいた。