氷と魔女《specialstory 完結》

良弥がシールドに両手をついて私を見つめていた。


「記憶が全てなくなってしまうんならさ。
せめて、1つだけ。思い出を作らせてよ。
1分だけの思い出をさ…」


私と良弥はまるで磁石のSとNのようにひかれあう。


視線が糸と糸のように絡まり合って、もう離れられなくなった。




2人ともなにも言わずに、シールドへと近づいて…



私は自然に目を閉じていた。

周りに人がいるとか。吟がいるとか。全く関係なかった。



シールド越しに触れた唇は

ぬくもりなんか全く感じなくって。

ただ冷たい冷たいシールドが私の唇にくっついただけ。


薄く目を開けると、君も唇をシールドにくっつけていて。

君が目を開けたらまた糸が絡まり出して、目が離せなかった。


君の目が優しく緩く揺れて。


何かが切れたみたいに、涙が一筋君の目から流れてた。