氷と魔女《specialstory 完結》

私は振り返った。


「吟。杖を返して。
今から良弥を人間界へと帰らさせる」

吟は持っていた私の杖を無言で投げた。

私はギリギリでそれをキャッチした。


「解除」


私が杖を振ってそう言うと、シールドの中で光が生まれた。


「天の扉よ。
この世界から別世界への扉を開け。
その扉を通るものは、ここでの記憶をすべて忘却させよ。
そして二度と、ここに来させるな」


シールドの中の光は、形となってゆく。


3秒ほどでその光は扉の形になっていった。



光り輝く扉。


人間界への帰り道。



もう二度と、こっちへ来ることはできないけど。





「良弥!早く、行って!お願い!」


私は良弥を見ずに叫んだ。



「千草、顔あげて」

「ヤダ」

「お願い」


良弥の真剣な声に、私は反応して顔をあげてしまった。