私が降参すれば、戦いは終わる。

私がきっと真実を求めずに最大の魔力を使ったら勝利に終わる。

けど、私は真実が知りたい。


お母さんとお父さんを殺めた理由を、知りたいんだ。


「ねえ。こっちからも質問するけどさ。
なんで良弥を連れて来たの。
彼は人間。純粋のね。
この戦争に関わってはいけないの」


「へえ。そいつ、千草の知り合いなのかよ」


まあね。

なんてもちろん言うはずもなく。

私は無言でシールドへと歩き出した。


そこでかがんだ。


私はシールドに手を触れた。

良弥もかがんだ。


そして、良弥も私に手を重ねるようにして手をシールドに触れた。


「おかしいね。ずっと繋いでたはずの手が、こんなに愛しくなるなんて。

良弥。私も会いたかった。でも良弥は帰って。今から帰してあげるから」



「なんで。なんでだよ。
僕と一緒に人間界へ帰ろう?千草、僕は君のことが忘れられないよ」


良弥のシールドに触れてない手が固く握りしめられた。


「大丈夫。良弥。こっちの記憶や私の記憶は全て消しとくから安心してよ」


「そうゆう問題じゃないだろ。
僕は千草が好きなんだ。忘れたくない!」

良弥。


どこまでも愛してくれた良弥。


だから、君を守るんだ。



苦しいのは、私だけでいい。


記憶に悶えて苦しむのは、私だけがいいんだ。