氷と魔女《specialstory 完結》

回したところで、手を止める。


そして振り返った。


「春美…ごめん。
こんなこと自己中だってわかってる。でも…
ここで待っててくれないかな?」


春美はニコッと笑った。

「……いいよ。私ばっかり甘えてるのも癪だしね」

「ありがとう」


私はドアを押した。

ギイイィィィ


私は躊躇せずに開いて、中に入り込んだ。


「なんで…なんで、ここにいるの…?」


自分でもわかった。

手が震えてる。足が震えてる。唇が震えてる。
目に涙が滲んでくる。

後悔が押し寄せてくる。



「千草………僕、思い出したんだよ。千草のことも、魔法のことも…そして思い出した瞬間、金髪の男の人が目の前にいて。
千草に会いたいかって言われて…『会いたい』って答えたら…気づけばここにいたんだ」



会いたかった。ずっと。

でも忘れようとした。忘れなきゃいけなかったから。

忘れられたから、新たな恋ができた。


「私は、会いたくなかったよ…会いたく、なかった。良弥…」




なんで。なんであの時、魔法にちょっと細工をしちゃったんだろう。

人間界から存在を、記憶を消す時。
君を良弥を思い出した。


告白されて。付き合って。
手をつないで。キスをして。
………魔法使いだってことを話して。

とっても愛しかった、君を。



君の記憶から私の記憶を消したくないって思っちゃったんだ。


だから…


アルバムにちょっと細工をしちゃったんだ。

君に預けていた私のアルバム。

そこにだけ、魔法の効果がかなり低く設定されてたんだ。



バカだ。

バカだバカだバカだバカだバカだバカだバカだバカだバカだ



私は…


愛しかった人を、巻き込んでしまったんだ。



決して直接触れ合えないシールド越しの君から、目が離せなかった。