氷と魔女《specialstory 完結》

作戦会議の時に見せた真剣な表情も。

魔界の夜に遊びに行った時に見せた大人な表情も。

討論しあった時に見せた怒った表情も。

つまらないことで笑いあった無邪気な笑顔も。


あなたは、全て遊びだったんですか?



視界がぼやけた。

右手の甲で目をふく。

また視界がぼやけて。

今度は左手の甲で目をふいて。

けどぼやけはおさまらなくて。

おさまってはまた溢れて。
止めたと思ったら止められてなくて。


春美をみたら、春美もただただ涙をぬぐっていて。

2人で、いろいろなことを思い出せば、涙を流し続けていた。

2人とも無言で涙をぬぐいながら歩いていく。




いつの間にか、目的地が見えていたこともわからずに。


鼻を1回すすって、涙を止めた。

春美も同じように鼻をすすって、涙を止める。

「ふはっ…変な顔」
「そっちこそ…」

決戦前の笑顔は。

きっと当分、笑顔を作れないだろうから。


本当の敵がいる部屋は、目の前へと迫って行く…


「…ぐさ……!」


ピタッ


私の足が止まる。


「ちぐさ…!」


春美も続いて止まる。


「千草……!」


はっきりと聞こえた。


決戦の部屋の隣。

確かに私を呼ぶ声が。


「千草…行くの?」

「………心当たりが」


もういくら黙っても遅い。

そう判断して、声を出す。



私は隣の部屋のドアの前に行く。

1回息を吐いて、手をドアノブにかけた。

そしてそれを…回した。