春美はゆっくりずれた部分を左にずらして行く。

ガコッ

絵が外れる…

って落ちる!


私はすぐかがんで、危機一髪で絵を支えた。


ふうぅぅ〜…良かったぁ。


絵を音が立たないように床に置いた。

そしてまた立ち上がった。

春美と一瞬目があって、どちらからともなく2人とも絵の奥を見つめる。

そこには、穴があった。

貫通している、穴が。



『行こう』


私は口パクで春美に伝えた。

春美は身をかがめて、穴に入って行く。

結構最初は苦戦したっぽいけど、人がかがんでちょっと余裕あるぐらいの穴だから、少し進むともう大丈夫らしかった。

穴は3mぐらいで終わっている。

奥に春美が着くと、私は絵を横に持って穴に入る。

穴に入ってからがんばって体を反転させて、絵を取り付けた。

絵の裏にはとってみたいなにがあって、簡単に取り付けられた。



取り付けた後、また体を反転させて奥へ進む。

やっぱり3mぐらい進むと、穴は終わり。

穴の向こうの、なにもない真っ白な世界へ音をたてないように降りた。