《吟 side》


「……父さん。今来ました」

「吟。すまんな…
普通の学生生活をしてあげられなくて。巻き込んでしまって…」


「いいんだよ、父さん。
そんなことより…敵について、もっと詳しく教えてよ。
ずっとはぐらかして」



「あー…ごめん、吟。今は言えないんだ。
いずれ、わかる」



……まただ。


敵について聞いても必ず返ってくる返事は2通りだけ。

『反政府軍だよ』
『今は言えないんだ』


今っていつだよ!

ただでさえこっちは最近イライラしてるんだ。


……好きな人が、退学して。


なんにも言わずに。急にふっと消えてしまったクラスメイト2人。


そのうちの1人は



綺麗な銀髪で、綺透き通るような千草色の目をしていて。

なにを抱えているのかはわからないけど、きっと過去になんかあって。


もっと、抱きしめてあげればよかった。守りたかった。