「風属性魔法と、光属性魔法、ちょっとした火属性魔法しか使えない……とか?」


気づけば口に出しちゃってて。

やばいと思って両手で口を覆った頃には、時すでに遅し。


「は……はあぁぁぁ⁉︎
3属性しか使えなくて何が悪いって言うのよぉ⁉︎
あんたみたいに5属性使えるのは珍しいんだからねえぇ?」


般若…はかわいそうだけど、恐ろしく顔を歪ませて武藤さんは叫んだ。


「え!そうなの?」


「嫌味か⁉︎」

嫌味じゃないよ…

5属性使えるのって、珍しいの?
お母さんとお父さんにも言われた事ないんだけど…



「2属性が1番火力が高いってだけで!他のも火属性と同じで少しは使えるんだから!」


「あーわかったわかった。

武藤さん、悪いんだけどさぁ……」


私は一瞬のうちに武藤さんの前へ魔法で移動する。
突然現れた私に、武藤さんも驚きを隠せない…

少し震えた体の、顔の、唇に。

私は人差し指を優しくおさえて言った。


「ちょーっと、いろいろ聞かせてもらうからね?

バクスーン」



私が呟くと、武藤さんは一瞬私を恐ろしいものでも見るかにような表情を見せて…

倒れた。



杖を一振りさせて体を浮かばせる。

「………先生、ごめんね。
私も、ちょっと授業より大切な事があるので、早退させてもらいますよ…」



初めての授業は、サボリで終了か。


つくづくツいてないな…


私は1回ため息をつくと、また森の奥へと歩き出した。