夢奈は頬をぷくーっと膨らませる。

「ごめんごめん。

そろそろ授業始まるよ?」


「…はーい」


夢奈はしぶしぶ自分の席へと戻っていく。


冷夜はこっちを少し見ると、小さく「お疲れ様」と言った。


「まあ、ね」

私がそう言うと、冷夜は少し笑って前を向いた。



今は初めての授業が始まろうとしてる10分休み。
SHRが終わって、今は担当の先生が来るのを待つだけ。


教科、なんだっけ?

早速魔法系授業だったと思うんだけど…



私が考えているその時


シュンッ


風を切った音に、Sクラスみんなが一斉に前を向く。




そこには先生が立っていた。


「彩先生が実技訓練担当なんですね」

冷夜の問いに、先生はムッとした表情で答える。

「彩先生はやめてくれよ…。

ま、そうゆう事だ。実技担当はお前らの担任でもあるこの俺だ。

今すぐ第3競技場へ来い」



先生はニヤリと笑うと、「クローズ」と言って消えた。

『クローズ』…今のは幻影ってことか。

『クローズ』はビデオを遠く離れた人に見せるようなもの。
送る時は『アップ』と言う。

まあ、『アップ』と呟く魔法っていっぱいあるから、微妙な魔力差で扱う。

それが大変だから、上級魔法でも上の方…


って


「みんな、早すぎだって。

空移動」





1人いつの間にか残ってた教室を、私は後にした。