「病院から電話があった」

「……」

「母さん、今から病院に行くからね」

「……死んだの?」

「……うん」


 そう言ってうなずいた母さんは、いつもより優しい口調をしていた。

 ……薄々と気が付いてはいた。いつの日か、こうなることを。こうなってしまうことを。

 犬の種族である“シェットランド·シープドッグ”は、他の犬に比べて免疫力が弱い犬だそうだ。色々と種族を混ぜ合わせた犬だから、余計に。

 死因は、ご飯を食べられないことによる貧血と、4分の3にも及ぶ肝臓の機能停止。


「治ることはない。機能している残りの肝臓と、どううまく付き合っていけるかが大切だ」


 と、お医者さんは言っていた。

 遅かれ早かれ、こうなってしまうことは決まっていた運命なんだろう。