私が触れるのは、たまに訪れる2人きりの保健室でのほんの数秒。 座っている先生の髪に触れる唇。 先生から触れてくれることはもちろんなくて、少し不満で、少し安心した。 バカな高校生に流されるような人じゃ無いとわかるから。 なのに。 額に触れた手も髪に触れた手も、飲みやすいものを選んだ優しさも。 愛されたいと思う私の気持ちにすっと甘く染み込んで、そのあとに苦く私を苦しめる。 香りで惹きつけて味で舌を痺れさせる、まるでコーヒーみたい。