騒ぎの翌日。

登校した詩月に普段通り話しかけたのは、郁子が最初だった。



「体、もういいの?」



「ああ……」



詩月は短く答え、視線を反らした。



緒方は、人の気持ちを考えず執拗に、あれこれと尋ねてくる性格ではないと思っていても、詩月は不安で仕方なかった。



 生徒会長に殴られた鳩尾辺りは、まだ時折痛みが走り、ふとした拍子に膏薬独特の匂いが、鼻を掠める。



専科の授業で教室移動をするとき、生徒会長は詩月を避けるように急ぎ足ですれ違った。



 昨日。

詩月は発作が治まり気づいた時、安坂の言った言葉を思い出した。