金木犀のアリア

「……!!」

理久は机を拳で叩き、怒りを露にした。



「その後も数人がかりで、止めに入ったんだが……驚いたよ」



安坂は、ちらと理久の様子を窺い、息を飲んだ。



理久の顔が、先ほどよりも眼光鋭くなった。



「周桜が前の学校で『教師を平手打ちして退学した』話……本当だったんだな。冗談だと思っていた」



「あの教師は、あいつの親父さんと同期だったらしい。
コンクールでかち合ったこともあったとか……。何かにつけて、親父さんと比べられていたそうだ」



「たまらないな」



「詩月はよく1年も我慢していたと思うぜ」



「俺なら、半年ももたないかな」



「噂を流した奴も驚いただろうが『周桜宗月の七光り』など、詩月に言うからだ」



理久はそう言って、静かに珈琲を啜った。